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ヨコハマ・パラトリエンナーレは、オリンピックに対してパラリンピックがあるように、障害者によるアート作品発表の場をトリエンナーレと同時に設けた。2017年のテーマは「sense of oneness とけあうところ」。障害者のみによるアートではなく、手をとりあいひとつの作品を作り上げていた

3年に一度のアートの祭典、トリエンナーレ

横浜トリエンナーレは、2001年の初回以来続く、3年に一度のアートの祭典だ。
現在は国内各地で開催されるようになったビエンナーレ・トリエンナーレの歴史的な先駆けといって差支えなく、その規模も随一だ。
2017年には第6回を迎えたが、前回の2014年開催からはトリエンナーレと並行して、「パラトリエンナーレ」という、障害がある人とアーティストをつなぐ芸術の祭典も同時開催されている。

そのパラトリエンナーレのハイライト、10月7日~9日の3日間、アーティストと市民10,000人で作り上げた「不思議の森」が、象の鼻テラス、象の鼻パークに現れ、パフォーマンス・アート・フードが集まる「大夜会」という屋外でのサーカスショーを訪れてきた。

不思議な森の大夜会

まずはみなとみらいから船で会場に向かう

船内ではウサギ姿のパフォーマーが歓迎をしてくれた。

陸に上がってから会場までもさまざまな演出

メインのサーカスステージは、横浜三塔のひとつであるクィーンの塔こと横浜税関本関庁舎の前に浮かび上がる。

さまざまな個性の出演者が集まる

障害の有無に関わらず、混ざり合って人同士としてひとつの作品を生みだしていた。
皆が一緒にいるのがとても自然で、作品内容も面白く楽しい時を過ごした。

観客席とステージは間近

だが振り返ってみると、サーカスの歴史上、これは実はすごいことだったのではないだろうか。

20世紀半ばころまでの、サーカスに「見世物小屋」の要素が強かった頃、サーカスは障害自体を、より強調して見せるショーだった。

生まれた奇形の子を両親がサーカスに預けたりすることに批判もおこり、現在では見世物小屋はほとんど存在しなくなった。しかしかつては、なかには自ら障害を特技のように生業としていた障害者パフォーマーも多くはないが居たそうだ。

「見世ない」ことは、サーカスの定石の封印とすらいえるかもしれない。

そんな今回のパラトリエンナーレは、全ての出演者が互いに分け隔てなく、溶け合うという形で成功をおさめていたと思う。完全には至っていないが観客席とも溶け合おうという意思も感じられた。

そして、溶け合ったその先に見えてくるもの、浮かびあがるものは?
3年後、今度はどこへ向かうのか。また足を運びたい。

参考サイト

ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017